2025年の中国インバウンド事情とは!春節の動向や最新トレンドを解説
観光地では、コロナ禍が明け海外からの旅行者を見かけることが増えました。なかでも中国人は多いと感じる人は少なくないでしょう。この記事では、春節の動向や最新トレンドなど、2025年の中国インバウンド事情を解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
2024年の中国人観光客数とインバウンド消費額
2024年のインバウンドは、過去と比較してどのようなものだったのでしょうか。ここでは、2024年の中国人観光客数やインバウンド消費額を、過去のデータとともに紹介します。
2024年の中国人観光客数
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年の中国人観光客数は、698万1,200人でした。これは2023年と比較して、187.9%の伸び率です。一方、2019年と比べると、ー27.2%の伸び率に留まっています。原因としては、他国に比べてコロナ禍以降の回復が最も遅れていたことに加え、政治・経済的な理由が考えられます。代表例が、原発処理水の問題です。2023年8月から福島第一原発の処理水放出が始まったことを受け、中国は日本産水産物の輸入停止措置を取り、日本への渡航を自粛する雰囲気が強まりました。
■訪日観光客数ランキング
国・地域 | 2024年 | 2023年 | 2019年 |
---|---|---|---|
韓国 | 881万7,800人 | 695万8,494人 | 558万4,597人 |
中国 | 698万1,200人 | 242万5,157人 | 959万4,394人 |
台湾 | 604万4,400人 | 420万2,434人 | 489万602人 |
米国 | 272万4,600人 | 204万5,854人 | 172万3,861人 |
香港 | 268万3,500人 | 211万4,402人 | 229万792人 |
※日本政府観光局(JNTO)の資料より抜粋
2019年・2023年は確定値、2024年は推定値
2024年における中国人観光客のインバウンド消費額
2024年における訪日外国人の旅行消費額は、速報値で8兆1,395億円でした。そのうち、中国人観光客は21.3%の1兆7,335円です。これは、2023年の7,604億円を大きく上回り、2019年の1兆7,704億円に迫る数字です。
※官公庁の資料より抜粋
2024年の春節における中国人観光客数
春節は、中国の旧正月を指し、新暦の正月と比べて盛大に祝われます。春節の時期に限定した中国人観光客の数は発表されていないため、月ごとの中国人観光客数を紹介します。日本政府観光局(JINTO)によると、1月は41万6,088人、2月は45万9,463人です。これは2023年1月の3万1,291人、2月の3万6,285人に比べると、大きく伸びています。一方、2019年1月の75万4,421人、2月の72万3,617人と比べると、まだまだ低いといえます。2024年1月、2月ともに、月平均である58万1,767人を下回り、現時点において中国人観光客はまだ回復途中と考えられる状況です。
■2024年の月別中国人観光客数
月 | 中国人観光客数 |
---|---|
1月 | 41万6,088人 |
2月 | 45万9,463人 |
3月 | 45万2,525人 |
4月 | 53万3,611人 |
5月 | 54万5,552人 |
6月 | 66万5,617人 |
7月 | 77万6,520人 |
8月 | 74万6,010人 |
9月 | 65万2,405人 |
10月 | 58万2,919人 |
11月 | 54万6,300人 |
12月 | 60万4,200人 |
※日本政府観光局(JNTO)の資料より抜粋。11月・12月の数字は推定値。
2025年の中国人観光客の動向予測
2025年、中国人観光客の動向はどのように変化するのでしょうか。旅行代理店であるJTBは、2025年の訪日外国人観光客を4,020万人と予測しています。
観光客が増える要因の一つとして、中国のビザ緩和措置が挙げられます。これは、2024年11月に中国外務省が2025年12月31日までの措置として発表したものです。ビジネスや観光などの目的による、30日以内の短期滞在であれば、ビザなしでの渡航が可能になりました。これによって、2025年は2024年以上に、中国人観光客の増加が見込まれます。また、現在の円安傾向が続けば、インバウンド消費も引き続き上昇する可能性が高いといえます。
参考:JTB「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」
中国人のインバウンドにおける最新の傾向
中国人観光客は、日本でどのような消費活動をするのでしょうか。ここでは、最新の傾向を2つご紹介します。
引き続きコト消費の傾向が強い
体験や経験に価値を見出す、コト消費の傾向が強まっています。2024年(令和6年)度の観光白書によると、「娯楽等サービス費」のうち、中国を含むアジアからの観光客で最も支出割合が高い消費項目はテーマパークです。また、訪日旅行におけるサービス費として、「美術館・博物館等」「現地ツアー・観光ガイド」「温泉施設」などの購入率は、いずれも2019年よりも上昇しています。
参考:国土交通省「2024年(令和6年)観光白書」
買い物は品質重視へ
一時期は、大量に買い込む「爆買い」が世間を賑わせた一方、現在は質を求める傾向が強まっています。観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、中国人が高い購入率を示した商品は、化粧品や電気製品などです。加えて、衣類をはじめ靴・かばん・革製品などの購入者単価も高く、日本の技術を活かした質の高い商品を求めていることが分かります。
2025年に押さえておきたいインバウンドのトレンド
2025年には大阪万博が開催されることもあり、インバウンド市場がさらに拡大すると見込まれています。ここでは、確実に押さえておきたいトレンドをご紹介します。
大阪・関西万博
2025年4月から開催予定の大阪・関西万博で見込まれる来場者数は、2,820万人です。そのうち350万人が海外観光客と想定され、特に中国からの来場が期待されています。また、万博の影響を受けることで、大阪だけでなく京都や奈良などの周辺地域についても観光客の増加が予想されます。
地方観光
東京や大阪などの大都市だけではなく、地方にも観光客が集まる傾向にあります。たとえば、春節時期の観光先として、雪景色やスキーを楽しめる北海道が高い人気を集めています。四季折々の自然を楽しめる経験は日本ならではのものであり、美しい自然を写真に残せる「映え」スポットといえるでしょう。
他にも、アニメの舞台となった場所を巡る「聖地巡礼」を旅の目的としたり、歴史的建造物での文化体験を楽しんだりと、さまざまなアピールポイントが考えられます。
アウトドア関係
中国では、都会にいながらも荒野を感じられる「自由なる荒野」のライフスタイルが人気を集めています。これまでの都市型観光からアウトドア市場に注目が移り、高い品質を誇る日本のアウトドアブランドの需要が高まっています。アウトドア用品の販売に加えて、山や海などの自然に触れ合えるリフレッシュスポットへの訪問や、グランピング施設やキャンプ場でのアクティビティ体験などは、中国人観光客のニーズを満たす存在といえるでしょう。
まとめ
中国人の訪日観光客数は、政治的・経済的な要因もあり、他の国と比較してコロナ禍以降の回復が遅れています。その一方で、2024年の中国人観光客数やインバウンド消費額は、2019年に迫る勢いで増加しました。また、中国では2024年11月からビザの緩和措置が取られており、2025年には大阪・関西万博が開催されることで、インバウンド市場はさらに拡大すると見込まれます。トレンドを把握し、日本のアピールポイントを活かすことで、中国人インバウンドをさらに活性化させましょう。