テレビ・YouTube・TVerの各CMの特徴とは?強みを理解して媒体を選ぼう!
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テレビCMは依然として強力な広告手段であるものの、近年はYouTubeやTVerなどの動画配信サイトを通じた広告も非常に伸びています。この記事では、テレビ・YouTube・TVerにおけるCMの特徴について解説します。それぞれの特徴を理解し、適切な媒体を選定してください。
目次
テレビCMの特徴
テレビは長い歴史を持つ媒体で、幅広く普及しています。近年は、若者のテレビ離れが生じているものの、家族で楽しめるコンテンツや信頼性の高い報道の需要は多いといえるでしょう。ここでは、テレビCMの特徴について解説します。
不特定多数にリーチできる
内閣府が2024年にまとめた消費動向調査の結果によると、2人以上の世帯において、カラーテレビ薄型(液晶・プラズマなど)の普及率は2023年3月末時点で95.1%、2024年3月末では96.0%と増加しています。一方、スマートフォンの普及率は2024年3月末時点で93.8%、パソコンは78.5%です。
このように、テレビは装置としての普及率が100%に近く、しかも番組を見るためだけの装置であることから、CMが見られる頻度は極めて高いといえるでしょう。テレビは、番組によってターゲット層は異なるものの、不特定多数にリーチ可能な媒体です。
参考:消費者動向調査 令和6年3月実施調査結果(p.12)|内閣府
ブランドイメージ向上が期待できる
テレビCMの品質は、一定以上の高い水準をクリアすることが要求されます。テレビ局の選考基準を突破していることや、出稿にかかる費用の高さから、テレビで放映されるCMの商品には、安心感や信頼を持ちやすいといえます。
また、CMを流すテレビ番組として、自社ブランドの雰囲気に類似したものを指定することで、番組の印象と合わさってブランドイメージの向上が可能です。番組がターゲットとする年齢層や職業などに合わせ、高級感や利便性、健康などのイメージアピールをすると、CMの効果をより高められます。
YouTube広告の特徴
YouTubeの動画共有サービスは2005年に米国で始まり、2007年からは日本語でのサービスも始まりました。現在、国内での月間アクティブユーザー数(MAU)は7,000万人を超えており、テレビで視聴するユーザーも多い状況です。ここでは、YouTube広告の特徴を解説します。
詳細なターゲティングができる
YouTubeは、Google ネットワークが提供する広告掲載先の1つです。Googleは、自社が持つ各種のサービス(検索・マップ・ショッピング・ブログ・メール・動画配信など)に対して、選択的に広告を配信できます。さらにターゲットユーザーの属性(地域・性別・年齢層・嗜好など)に応じて、配信先や内容を自在に設定できることがメリットです。
このように、YouTubeへの広告配信は詳細なターゲティングが可能で、限られた費用で最大の効果を得られる仕組みを特徴としています。
HP・LPへ誘導しやすい
YouTubeでは、動画の前後や途中に挿入される動画広告以外に、画面の下に表示されるCTA(コールトゥアクション)や画面上に配置されるコンパニオンバナーが使用できます。CTAは、動画広告をスキップしても継続して表示される点がメリットです。
もっと見たい、詳細を知りたいという感情を持たせることで、継続して表示されるCTAやバナーからWebサイトやランディングページに誘導し、CV(コンバージョン)の確保につなげられます。
TVer広告の特徴
TVerは、2015年に始まったテレビコンテンツを配信するサービスです。テレビ番組の見逃し配信やオリジナル番組などの充実したコンテンツによって、いつでもどこでも各種の番組が見られます。ここでは、TVer広告の特徴について解説します。
完全視聴率が高い
TVerの広告はテレビCMと同様、スキップができません。番組そのものの早送りはできる一方で、広告はできない仕様です。そのため、広告を最初から最後まで見てもらえる割合(完全視聴率)が、YouTubeなどと比べて高いことを特徴とします。TVer広告の完全視聴率は、公式サイトによれば15秒で96%、60秒でも93.4%と極めて高い水準といえます。
広告を流すタイミングもテレビと同様、番組の内容によって違和感のないタイミングに設定されるため、嫌悪感が持たれにくいといえるでしょう。
テレビを見ない層にもリーチできる
若者のテレビ離れは、テレビ番組そのものを指すものではなく、テレビというデバイスを利用しなくなっていると解釈するほうが実情に近いといえます。10〜20代でテレビ番組が好きな層は、他の年代より多いというデータもあります。
TVerは、テレビ番組をスマートフォンやタブレットで視聴する層にリーチが可能です。広告には、スマートフォンで訴求しやすいデザインや見せ方が求められます。
媒体ごとの費用の目安
広告の費用には、広告制作に関わる費用と、媒体への出稿に必要な費用があります。ここでは、テレビ・YouTube・TVerの各媒体で、これらの費用がどのように異なるかを解説します。
制作費用の目安
テレビとTVerは、同じCMの使用が可能です。CMの制作費は、クオリティの違いや有名人起用の有無によって大きく異なり、数十万円〜数千万円と幅があります。
YouTube広告はスキップで視聴が途絶える可能性があるため、具体的なメッセージだけを伝える、重要なことは冒頭で訴求するなど、CMを流す媒体によって制作のポイントは異なります。手持ちの素材を用いたスライドショー形式の動画であれば、予算を抑えて制作できる一方、広告の効果を大きくするためには、質の高い動画制作への投資が不可欠です。
出稿費用の目安
出稿費用とは、広告枠を購入する費用といえます。出稿費用の目安を、以下の一覧表で紹介します。
広告媒体 | 出稿費用 |
---|---|
テレビCM(地上波放映費) |
関東・関西:約200万円~ |
YouTube広告 | 約10万円〜 |
TVer広告 | 約50万円〜 |
一般的に、動画配信の広告は動画の長さによって単価が変動し、尺が長いほど高くなります。YouTube広告は、表示によって料金が発生するCPM課金、一定時間以上の視聴によって料金が発生するCPV課金があります。目標とする成果に合わせて、最適なプランでCMを配信しましょう。
各媒体を併用するメリット
広告は、複数の媒体に出稿することで、1つの媒体による宣伝よりも大きなメリットが得られます。幅広い機会を利用し、より多くの人に視聴してもらうことで、広告の効果を高められるためです。ここでは、各媒体を併用する具体的なメリットについて解説します。
より幅広い層にリーチできる
テレビCMは、不特定多数に幅広くリーチできるものの、若者を中心としたネット主体の生活者にとっては、視聴機会が少ない広告といえます。テレビCMを、YouTubeやTVerの広告と組み合わせることによって、視聴層の網羅性を高められます。
とくにYouTubeは、テレビ番組以外のコンテンツが豊富です。音楽や映画、旅行、時事問題から生活情報まで、ユーザーの嗜好をピンポイントで反映するコンテンツが提供されます。YouTube広告の併用によって、ターゲット層を絞り込んだ有効な宣伝ができるでしょう。
CM素材を流用できる
テレビCMのために制作された広告素材はクオリティが高いことから、他の広告媒体に流用すれば、高品質な動画広告として差別化を図れます。とくにTVerはテレビと広告のタイミングが似通っており、違和感なく流用できます。
テレビCMを出稿している商品・サービスは、CM素材をTVer広告などに流用することで、広告接触頻度が増え認知度の向上にもつながります。また、テレビCMに起用されたことによるブランドへの信頼感から、ネット広告のCVを高めることが期待できます。
YouTubeやTVerのデータをテレビに活かせる
テレビCMでは視聴者の詳細なデータを取得できない一方、WEB広告であるTVerやYouTubeでは取得が可能です。媒体によって出せるデータは異なりますが、ユーザー属性や、視聴した時間や離脱したタイミングなど、コンテンツや広告の見られ方についての情報が得られます。
配信した広告レポートを詳しく分析することで、ターゲティングや広告戦略の見直し、次回以降のテレビCM改善への活用が可能です。また、ターゲットとしていなかった予想外の層を発掘し、潜在的な顧客にリーチ対象を広げるマーケティング戦略へとつなげられるでしょう。
まとめ
テレビCMは、不特定多数への幅広いリーチが可能で、ブランドの認知とイメージ浸透に高い効果を発揮する広告手段です。一方で、若者を中心としたインターネット主体の生活者に対しては、動画配信サイトでの広告によるリーチやCVが有効であるといえます。
とくに、YouTube広告はユーザーの属性や視聴の仕方を詳しく分析できるため、ターゲティングの精度を高められます。CMの出稿を検討する際は、テレビとインターネット双方の媒体を組み合わせた、網羅性の高い広告配信が重要です。