理解しておきたい「景品表示表」の注意点
マーケティング担当者がしっかり押さえておきたい法律に「景品表示法(景表法)」があります。簡単にいうと、自分の商品・サービスを誤解されないようにセールスしなくてはならないという決まりです。
広告宣伝をする上で、どうしても「もっとよく伝えたい」「大げさに伝えたい」という気持ちが湧いてくることがあります。しかし、法律の規制を理解していないと、措置命令や課徴金の対象になることもあります。そうなると、商品や企業のイメージが損なわれてしまうリスクもあります。マーケティングを展開する上で必須である景品表示法の知識について、わかりやすく解説します。
目次
景品表示法とは
景品表示法とは、一般消費者に対する「景品」と「表示」を規制するための法律です。過大な景品や不当な表示に制限を加えることで、消費者の利益を守ることを目的にしています。景品表示法は消費者庁の管轄で、実際の措置命令の事例などはホームページ上でも閲覧可能です。他社の事例からも学ぶことが可能ですので、合わせてご確認ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_160801_0001.pdf
(景品表示法に関するパンフレット)
もし景表法に違反すると?
もし景品表示法に違反しているとみなさされると、消費者庁から調査を受けることになります。その結果違反と認められれば、措置命令として以下の対応が求められます。
- 違反したことの消費者への通知
- 再販防止策
さらに、状況に応じて課徴金の納付が命じられる場合もあります。一度違反とみなされると、商品もブランドもイメージが悪くなってしまいます。経営リスクにもなりかねませんから、広告表示には注意しましょう。では、どのような表現等が違反の対象となるのか、詳しく見ていきます。
「過大な景品の禁止」とは
販売促進の手法として、景品類の提供というのはよく取られる手段です。しかし、景表法ではキャンペーンの種類や内容によって、景品の値段上限を決めています。過剰な景品に惑わされ、消費者が質の悪い商品を買うような状況を防ぐためです。景表法では、3つの規制が設けられています。
一般懸賞(くじや抽選など)
- 取引価格が5,000円未満の場合、景品最高額は取引価格の20倍まで、総額は売上予定総額の2%まで
- 取引価格が5,000円以上の場合、景品最高額は10万円まで、総額は売上予定総額の2%まで
共同懸賞(商店街や地域内の同業者が共同して提供)
- 最高額は30万円まで、総額は売上予定総額の3%まで
総付景品(購入者・来店者全員に提供)
- 取引金額が1,000円未満の場合、最高額200円まで
- 取引金額が1,000円以上の場合、取引価格の20%まで
抽選などの懸賞を企画する際には、このラインを守って選定を行いましょう。
景表法対象外の懸賞もある?
ただし、Webサイト等で告知し、商品やサービスの購入や来店を条件にしていない場合は、景品表示法の規制は適用されません。こういった形式の企画は「オープン懸賞」と呼ばれ、SNSのハッシュタグを使ったキャンペーンや、メルマガ購読を条件としたキャンペーンなどで活用されています。
オープン懸賞の場合、消費者と購入する取引は発生しないので、景表法は関係ないというわけです。商品の購入・見積り依頼・来店などが応募の条件となる場合は景表法の対象となりますので、企画をすすめる際は条件もしっかり検討しましょう。
「不当な表示の禁止」とは
広告の文言を考える上で注意したいのが、不当な表現の禁止です。実際の商品・サービスよりも著しく有利・優良だと見せかける表現はNGとされています。
価格・取引条件についての「有利誤認」
「有利誤認」とは、価格や取引条件について誤解を招くような表現のこと。とってもお得だと誤解させて、実際にはそうでない表示が当たります。
具体的には、
- 「今だけこの値段!」と売り出していたが、実際は常にこの値段で販売していた
- 「他社の平均価格から値引き」としていたが、その平均価格を実際の価格より高く設定していた
- 「うちの電話料金が一番安い」としていたが、実際は自社にとって不利になるサービスを除外した上で計算していた
などの事例があります。
商品やサービス内容についての「優良誤認」
「優良誤認」とは、商品やサービスの内容について誤解を招く表現のこと。簡単に言うと、大げさに良さを伝えているような内容が当たります。
具体的には、
- 「健康成分が他社の2倍」としていたものの、本当は同じ量だった
- 「国産の有名ブランド牛肉」としていたが、本当はブランド牛ではなかった
- 「食べるだけで痩せる」としていたが、実際は「食べる+運動」が必要だった
などの事例があります。
その他の誤認
有利誤認や優良誤認には当たりませんが、消費者を誤認させる恐れのある表示はNGですので注意しましょう。
例えば、不動産業のおとり物件(実際にはない物件だが、問い合わせを増やすために広告を出稿する)などが代表例です。
広告担当者だからこそ、景表法を正しく理解して運用しよう
マーケティングは、いかに自社の商品・サービスを魅力的に見せるかが腕の見せ所です。しかし、より良く見せようと熱が入るあまり、景表法に違反することの無いよう注意が必要です。この記事でお伝えしたのはあくまで基本的な考え方です。消費者庁のホームページでは具体的な処分事例等も掲載されていますので、他社の事例も参考にしながら、正しい表現で広告表記を作成するようにしましょう。