カスタマージャーニーとは?顧客の心を掴むヒントを見つける方法
精度の高いマーケティングのためには、顧客の理解が何より大切です。いくら良い商品やサービスでも、顧客のニーズと噛み合わない提案だと、顧客から選んでもらうことはできません。
顧客の心を理解するために使えるのが、「カスタマージャーニー」というフレームワークです。ここでは、カスタマージャーニーの意味やマーケティングに活かすための考え方をご紹介します。
目次
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、顧客の心の動きを見える化して表現したものです。時系列に図表にまとめたものを「カスタマージャーニーマップ」とも呼びます。
現在のマーケティングで重要になっているのが、顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)です。顧客について深く理解し、最適なタイミングで最適な体験価値を提供することで、購買につなげることができます。
以前はメディアの数も少なく(テレビ、新聞、雑誌など)、顧客との接点を想像するのも簡単でした。しかし、今の顧客たちはさまざまなチャネルを使い、横断し、情報収集やサービスの購入を行っています。顧客を正しく理解することは、効果的なマーケティング施策の立案に不可欠な要素です。一見遠回りな施策に思えるかもしれませんが、カスタマージャーニーで顧客の体験をストーリーとして共有することで、顧客の行動を深く理解でき、顧客に寄り添ったマーケティング立案ができるようになります。
カスタマージャーニーはなぜ重要か
カスタマージャーニーを作ると、社内で①顧客の理解が進み、②顧客目線での施策が考えられ、③効果的なマーケティングをスムーズに検討できるようになります。
社内で顧客理解が進み、共有できる
顧客がどのように感じ、考え、製品を選んでいるかどのくらい想像できますか?「このバナーをクリックした」とか「このキーワードで検索した」という情報から分かるのは、あくまで顧客の行動の結果であって、深い顧客理解とは言えません。時系列で心の動きをしっかり想像することで、顧客の望むことが分かるようになります。
カスタマージャーニーマップで図式化すれば、社内での共通認識も容易にでき、マーケティング全体で指針がずれるリスクも減ります。
顧客目線での施策が考えられる
顧客理解が進むと、顧客の気持ちになって想像することができます。カスタマージャーニーマップに落とし込むという一連の流れを経るだけでも、顧客目線の体験となるので、実施する前には気が付かなかった視点も見えてくるはずです。
効果的な施策をスムーズに検討できる
顧客についての認識が共有できているので、社内での議論が建設的に進みます。指示出しや上司への説明も効率的に進められます。
カスタマージャーニーの作り方と、テンプレート例
カスタマージャーニーをマッピングしていくための流れを簡単にご紹介します。必ずこの流れに沿う必要はありませんが、進め方の一例としてご参考ください。
①ペルソナを明確にする
まず、対象となる顧客像を明確化します。マーケティング用語としては「ペルソナ」と呼ばれる仮想客を設定します。いかに具体的に設定するかが大切です。
例えば、「20代女性」という漠然とした想定ではなく、「田中美奈 24歳。東京新宿のショッピングビルでアパレル店員として勤務している。」というように、具体的な人物像が浮かび上がるように設定します。
②最終目標を明確にする
マーケティングの目標として、このプロジェクトで最終的に何を増やすのかを想定します。売上増か、会員登録増か、問い合わせ増か、リピート増か、範囲や対象を明確化することで考えるポイントが大きく変わってきます。
③洗い出す観点(タッチポイント等)の整理
カスタマージャーニーをマップとして図式化していく中で、どういった要素を取り入れるかを検討します。
よくあるカスタマージャーニーマップでは、
横軸…時間軸として、「認知→興味関心→比較検討→購入→継続接触」などと顧客の行動を配置する
縦軸…タッチポイント(顧客との接点)、顧客の行動、顧客の心理、現状、裏付けとなる事実など洗い出したい観点を配置する
という構成になっています。
具体的なテンプレートとしては、日本最大級の無料テンプレート集「bizocean(ビズオーシャン)」のテンプレートなどがあります。参考にしてください。
https://www.bizocean.jp/doc/detail/533307i/
④顧客についての深掘り
顧客について深く考えていきます。想像だけで埋めていくのは難しいので、定量調査やユーザーインタビューなどの手法がよく取られます。調査コストや時間の余裕がない場合は、ターゲットに近い社員や周りの人に話を聞くだけでも気づきがあります。話を聞く観点としては、「普段、どのように商品やサービスを利用しているか」を深掘りするイメージです。
⑤マップ化
準備したフレームに沿って、項目を埋めていきます。このとき、1人でやるのではなくて、幅広いメンバーに集まってもらって進めていくと、より多角的に顧客理解を深めることができます。
⑥課題整理とマーケティング施策への落とし込み
顧客理解から見えた課題と、どうやってマーケティング施策に取り入れていくかの実践的な部分を考えていきます。顧客目線で課題が見えているので、具体的で有効なアイデアが湧いてくるはずです。
カスタマージャーニーを理解して、戦略的なマーケティングを
カスタマージャーニーの把握なくして、マーケティングの成功はありません。一人の顧客をしっかり深掘りすることが、多くの顧客の心に響く施策を生み出すヒントにつながります。
これまでのマーケティングに頭打ちを感じていた人や、マーケティング施策をブラッシュアップしたい人は、カスタマージャーニーを考えてみてはいかがでしょうか。