顧客インサイトはどう見つける?売上アップにつながる新しい視点とは
巷にはモノが溢れ、消費者に自分の商品やサービスを選んでもらうためには他社との差別化が欠かせなくなっています。そこで、最近注目されている考え方が「顧客インサイト」です。
顧客インサイトとは、顧客本人すら気づいていない、「深層にある無意識の気持ち」のことです。顧客について考え抜き、顧客インサイトを発見することで、顧客の心に響く訴求ができるようになります。上手にアピールできれば、顧客が商品・サービスを「自分のためのもの」と思って購入する行動に結びつきます。他社と差別化するためにも、ぜひじっくり取り組みたい考え方です。
今回は、顧客インサイトの基本的な考え方についてご紹介します。
目次
顧客インサイトとは?
顧客インサイトとは、顧客の心のうちにある、本人も気づいていないような潜在的な欲求のことを指します。本人すら自覚していない欲求なので、これを明らかにしていくことで、顧客の心に刺さる商品やサービスの提供ができるようになります。例えば、世の中にはたくさんのコーヒーショップがある中で、顧客があるお店を選ぶのにはどういった理由があるかを深堀りしていくのが顧客インサイトの考え方です。私たちも、ふらりと立ち寄ったコンビニで目的外のものを購入した経験があると思います。その購入の背景にある無意識の考えが顧客インサイトです。
顧客インサイトは、顧客自身も認識できていないので、理由を聞いても答えられません。マーケターの側が考え抜く必要があるのです。
顧客インサイトを活用した事例
顧客インサイトを活用した事例として有名なものが、米国で行われた牛乳消費のためのキャンペーンです。 当時のカリフォルニア州では牛乳の消費が低迷し、どのように販売するか悩んだ業者は、牛乳の愛飲者に「どんな時に牛乳が欲しくなるか」と調査を実施。その結果、「クッキーなど、口がパサパサする食べ物を食べた時に牛乳を飲む」ことが分かりました。
以前は「健康に良い」というアピールで牛乳を販売していましたが、この調査結果を受けてクッキーやパン売り場で「got milk?(ミルクある?)」とアピールを展開。潜在意識を刺激して牛乳の購買量を増やすことに成功しました。
顧客インサイトとニーズはどう違うか
顧客インサイトと同じく消費者の購買意欲に関係する考え方に「ニーズ」があります。潜在ニーズは、ユーザーが今必要としているもののことを指します。例えば、「テレワークの効率を上げるために、いい椅子が欲しい」というイメージです。ニーズとは顧客が自覚しているものですから、少し調査すればすぐに把握できます。
すぐに把握できるということは、競合他社も同じような気づきを得やすいということです。結局、同じニーズを食い合う状況になるので、価格競争に陥りやすく大手企業が有利になってしまいます。
これからのマーケティングで生き残っていくためには、ひとりひとりの無意識領域に切り込むような切り口での売り込みや商品開発が求められるのです。
顧客インサイトの見つけ方
顧客インサイトを掴むために大切なのは、「具体的な顧客ペルソナの設定」と「顧客の観察」です。
顧客ペルソナの設定
マーケティングを展開する上で、顧客理解のために「ペルソナ」をたてるのは一般的な手法です。顧客インサイトを考える際にも、ペルソナの設定は非常に重要です。
スマートニュース執行役員の西口一希さんは、顧客インサイトに迫る手法として「N1分析」を提唱しています。マーケティングなどの調査においては、よく「N=3,000」などサンプル数の多さが重要とされますが、あえてN=1と絞り込むことで強いアイデアを生むという考え方です。
そのためには、対象となるペルソナを具体的に描くことで、深堀りを進めやすくなります。名前、年齢、出身地、家族構成、日々の過ごし方、趣味、来歴、よく行くお店など具体的な人物を想定して設定しましょう。
顧客の観察
顧客インサイトは、顧客本人も気づいていない潜在的な意識です。単純に「なぜこの商品を買ったのですか」と質問して得られる回答の中には、顧客インサイトは含まれていません。見つけるためには、徹底的な顧客の心理の想像が必要です。あるいは、具体的な顧客の行動を観察するのも有効です。
例えば日用品であれば、購入時の行動を見たり、日頃の生活シーンを観察したりすることで、思いがけない発見があることもよくあります。
顧客インサイトの発見は、技術というよりはセンスが問われます。すぐには思いつかないと諦めずに、さまざまな角度から顧客について深く考えてみてください。
顧客インサイトを意識してマーケティングを行おう
マーケティングを行う時に、これまで顧客インサイトを意識していなかった方は、今後顧客インサイトを念頭においたマーケティング展開を行いましょう。答えがすぐに見つかるものではないので、なかなか効果を実感できずに悶々とする時間もあるかもしれません。しかし、顧客の考え方にしっかり寄り添い、顧客以上に顧客のことをわかろうと努力することで、競合他社と大きく差別化できるきっかけを掴むことができます。
顧客インサイトを活用し、売上アップを目指しましょう。