“優良誤認”に注意!広告の表現で気をつけたいこと
広告は、商品やサービスの魅力を分かりやすく消費者に届けるためのものです。より多くの人の目を惹く広告を作るために、日夜頭を悩ませているご担当者も多いはずです。
しかし、なんとか良さをアピールしようとする思いが強いあまり、行き過ぎた表現をしてしまうと、「景品表示法(景表法)」に違反してしまうリスクが有ることをご存知でしょうか。
2018年10月には、「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」が”飲むだけで簡単に痩せる効果が得られるような広告”を出したことが優良誤認にあたるとして、販売会社に課徴金1億円と再発防止措置を命じました。
景表法について知らずに広告を作成していると、無意識に違反を犯してしまう可能性があります。ここでは、広告担当者が理解しておくべき「景品表示法」について、特に「優良誤認」に的を絞ってご紹介します。
目次
景品表示法とは
景品表示法とは、簡単に言うと「一般消費者を、誤解を与える表示をしている商品から守るための法律」です。実際は飲むだけでダイエットはできないのに、広告を信じて青汁を購入した結果、思ったような成果が得られない…といった不幸を防ぐために作られています。
景品表示法の内容は、大きく分けると「不当な表示の禁止」「過大な景品提供の禁止」の2つに分類できます。前者は、大げさな表現や嘘の表現から消費者を守るためのもの、後者は過剰な景品に惑わされて本来の価値に見合わない商品を購入しないように消費者を守るためのものです。
今回フルーツ青汁の事件で注目されたのが、「不当な表示の禁止」の1つである「優良誤認表示の禁止」です。これだけでは、具体的にイメージするのは難しいと思いますので、次の項目で詳しく説明していきます。
優良誤認表示の禁止とは
「優良誤認表示」では、品質・規格・その他の内容について、消費者に対して実際のものよりも著しく優良であると示す表現を禁止しています。
「品質」とは、商品の成分などのことで、原材料・濃度・添加物・性能・効果・安全性などが該当します。「規格」とは、国や公共団体等が定めた基準や等級のことを指します。トクホやJAS規格などが該当します。「その他の内容」としては、原産地や製造方法、賞味期限などが挙げられます。
こうした内容について、事実に反して実際よりも良い内容を表示したり、嘘ではなくても誇張した内容を書いたりすると、優良誤認に該当する可能性があります。
例えば、ニュースでも報道された「フルーツ青汁を飲むだけで痩せる」という表記は、大いに誤解を招く表現と捉えられたということになります。
他にも、NG事例としては以下のようなケースが考えられます。
・100%果汁じゃないジュースを、100%果汁として販売する
・調査や根拠が無いのに、「リピート率」「合格率」「満足度」の表記を入れる
・産地をごまかす
・機械生産なのに「職人の手作り」と表記する
・認定されていないのにブランド牛を名乗る
・コシヒカリが少ししか入っていないのに、「コシヒカリ純米せんべい」と名乗る
優良誤認表示の疑いがあると判断された場合には、公正取引委員会から表示の裏付けとなる根拠を占める資料を求められ、期間内に提出できない場合には不当とみなされてしまいます。
「優良誤認表示」と同様に不当な表示の禁止として定められているのが、「有利誤認表示」です。言葉は似ていますが、異なる内容が定められているので、合わせて確認しておきましょう。
「有利誤認表示」では、価格や取引条件について誤解を招く表現や虚偽の表記を禁止しています。数量やアフターサービス、保証期間や支払い条件の内容が該当します。
例えば、
・本当は定価で販売しているけれど、“今だけこの値段”“期間限定大特価”と書いている
・根拠はないけど、関東で一番安い!と謳っている
・セット売りでお得と触れているが、実際はバラ売りと価格が同じ
・勝手にメーカー小売価格を設定し、定価が安いように見せる
・自社に有利なランキングサイトを作る
という状況が当てはまります。要は、勝手に情報を操作して誤解を与えてはNGですよということです。
優良誤認表示、有利誤認表示に代表される「不当な表示の禁止」以外にも、景品表示法では「過大な景品類の提供の禁止」も定められています。懸賞応募・賞金・福引・おまけ・抽選といったサービスを提供している場合は、確認しておきましょう。
広告を作る際は、景品表示法に則った内容に
広告は、自社の商品やサービスの魅力を伝えるためのツールですから、どうしても良い面を強調したくなります。しかし、その気持ちが行き過ぎるあまり、嘘の表示をしてしまったり、誤解させるような表現をしてしまってはなりません。法律違反を咎められるだけではなく、お客さんの心も離れてしまい、ブランドイメージを大きく損ねてしまうからです。
法律を意識して広告を制作するというと難しく思えるかもしれませんが、要は「嘘をつかない」「証拠がない情報は使わない」ことを意識できていれば、なんの問題もありません。
商品の良さを正しく消費者に伝えるためにも、景品表示法の観点からもチェックしながら広告制作を進めてくださいね。