テレビCMは2種類!それぞれの特徴と第3の選択肢とは?
私達がいつも無意識に観ているテレビCMには、2つの種類があります。その種類によって、特徴や効果が違います。最近はスマートフォンの普及率が更に上がり、Web広告の需要が高まっています。しかし、そんな中でも昔から定着しているメディア媒体のテレビの中で流れるCMは、定番広告となっています。 ここで、テレビCMの2種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
目次
テレビCMは主に2種類
テレビCMには、大きく分けてタイムCMとスポットCMの2つの種類があります。
厳密にはその他にも、収録スタジオで生放送によるCMを行う「生CM」や「生コマ」いう種類などがありますが、主流となっているのはタイムCMとスポットCMです。
それぞれ放送の仕組みや放送エリア、期間などが異なるため、目的に合わせてCMの種類を選択するのがおすすめです。まずはタイムCMとスポットCMの特徴をご紹介します。
タイムCMとは
テレビ番組の最後に流れる、「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします」というアナウンスを耳にしたことがある人は、多いのではないでしょうか。タイムCMとは、このように特定のテレビ番組と契約するスポンサーのテレビCMを指します。ここでは、タイムCMの種類や内容について解説します。
タイムCMの放送エリア
タイムCMの放送エリアは、「ネットタイム」と「ローカルタイム」の2つに分けられています。「ネットタイム」はキー局が制作するテレビ番組で流れるタイムCMのことで、日本全国で放送されます。一方、「ローカルタイム」は特定のテレビ局と契約し、そのテレビ局が持つローカル放送エリア内でのみ放送されるタイムCMです。
放送エリアは、日本全国か特定の地方のみかの選択が可能です。
放送秒数と提供予告の関係
CMが放送される秒数と画面表示される社名や商品名、読み上げられるナレーションには、一般的に次の表に挙げる関係があります。これらの規約や条件は放送局や番組によって異なります。実施する際は詳細の確認が必要です。
タイムCMの特徴
タイムCMで自社のPR効果を最大限発揮するためには、タイムCMが持つ特徴を理解し、活かすことが重要です。ここでは、タイムCMの特徴を解説します。
狙ったターゲットに効率的にアピールできる
タイムCMの大きな特徴は、ターゲット層を絞って自社の商品・サービスを効率よくアピールできることです。タイムCMを流す際には、企業側が契約する番組を選定できます。企業の想定するターゲット層を明確にし、その層が視聴する可能性の高い内容や時間帯の番組を選ぶことで、CMの効果がより高まります。番組のジャンルと商品を掛け合わせることで、質の高い広告の実施が可能です。
ブランドイメージに合った番組が選べる
タイムCMを流す際は、ターゲット層のマッチングだけでなく、自社のブランドイメージに合った番組の選定が重要です。番組の内容や質を吟味し、自社が打ち出すブランドの印象を高める番組が選定できれば、番組と商品のイメージをリンクさせることで、ブランドイメージ向上の効果が期待できます。すでにブランドイメージが確立されている番組であれば、そのよい印象を、自社の商品やサービスのイメージに取り込みやすいこともメリットです。
契約期間は2クール(半年)単位が多い
テレビのレギュラー番組は、ラインナップのほとんどが3か月単位で組まれます。3か月間を1クールとして、タイムCMの契約期間は最低1クールから設定されています。1年間を四半期ごとに4つのクールに分けると、大きな改編が行われる時期は春と秋です。そのため、タイムCMの契約タイミングは春と秋の改編時がメインになります。このことから、タイムCMの契約も2クール単位であることが多いため、契約の際はまとまった予算の準備が重要です。
スポットCMとは
スポットCMとは、番組の内容に関係なくランダムに放送するCMのことです。最小15秒単位から購入でき、CMを流す放送局や期間、時間などを自由に設定できます。ここでは、スポットCMの種類や流す時間帯について解説します。
SB(ステーションブレイク)とPT(ピーティー)
「SB」と「PT」は、テレビ番組表のどこにCMが入るのかを表す略語です。スポットCMには、番組と番組の合間にCMが流れる「SB」と、番組の時間内にCMが流れる「PT」の、2種類のCM枠があります。「SB」は「Station break」と表記され、省略してステブレと呼ばれることが一般的です。「PT」の英字表記は「Participating commercial」で、省略してピーティーと呼ばれています。
スポットCMの主な購入パターン
スポットCMで指定する時間帯や曜日は、主に4種類のパターンがあります。スポットCMを購入する際は、ここで紹介するそれぞれの特徴を踏まえた上で、どのタイプを購入すると効率よくアピールできるかを検討しましょう。
■全日型
全日型は、月曜〜日曜の朝から夜までの時間帯にCMが流れます。在宅主婦やファミリーなどをターゲットとし、4パターンの中で最もリーズナブルでありながら幅広い層に対応可能です。食品やトイレタリー、薬品など、ほぼ全ての層が利用する生活必需品を取り扱う企業におすすめといえます。
■逆L字型
逆L字型では、土日と毎夜の時間帯にCMを流せます。そのため、成人男女を中心とした、平日日中の在宅率が低い若者やビジネスパーソンがターゲットです。在宅率が高い時間帯の放送であるため、他のパターンと比較して費用は高めです。この型をおすすめする企業として、自動車やアルコール飲料、映画などの嗜好品や、家事の効率を高めるための家電を取り扱う業種が挙げられます。
■コの字型
朝・夜・土日の時間帯にCM放映するパターンを、コの字型と呼びます。朝の時間帯に流すことで、通勤・通学前の会社員や学生にも訴求できることがポイントです。平日の昼間にテレビを視聴しない成人層がターゲットであるため、飲料や自動車、精密機械などの趣味に関する業種や、化粧品や美容に関する業種におすすめです。
■ヨの字型
ヨの字型としてCMが流れる時間帯は、朝・昼・夜・土日です。ターゲット層は主に成人全般ですが、昼の時間帯にも流れるため、日中にテレビを見る可能性が高い在宅主婦に向けた商品CMを流す企業に多く利用される傾向があります。食品や家電、トイレタリーなどの日用品や、化粧品や健康食品などの生活の質を高める商品に関わる業種が適しているでしょう。
スポットCMの特徴
スポットCMは、タイムCMのように提供企業がテレビ画面に映し出されない代わりに、自社の条件に合わせた柔軟な買い方が可能です。ここでは、契約の際に知っておくと役立つ、スポットCMの特徴を解説します。
幅広い層へのリーチができる
番組を指定してCMを流すタイムCMでは、その番組を見る視聴者にのみ自社商品をアピールできます。一方でスポットCMは、番組を特定しないため、さまざまな時間帯や曜日のCM放映が可能です。CMが流れる時間を幅広くとることで、年齢や性別を問わず不特定多数の視聴者にリーチできます。そのため、アピールしたい商品のターゲット層を絞ることが難しいときは、スポットCMの活用が向いているといえます。
短期間で集中して広告が出稿できる
スポットCMは、放送する時間帯や期間、放送する量(CM投下量)を柔軟に調整できます。2週間から1か月の契約期間を目安に、期間限定で実施されるキャンペーン期間だけのCM放映や、ターゲット層が視聴しやすい時間帯だけを選んだ放映など、一定期間に集中して放送できます。また、新商品の認知を目的とする場合、必要なCM投下量を事前に試算することで、余分な広告期間を省けることも大きなポイントです。
出稿する時間帯によって費用目安が異なる
スポットCMの費用は、CM1回あたりの料金ではなく、「GRP(延べ視聴率の合計)」「パーコスト(視聴率1%あたりの価格」「買付額」の3つから成り立ち、次の計算式で求められます。
「GRP」×「パーコスト」=「買付額」
GRPは、CMをどの程度流すかを決める際に用いられる指標です。また、パーコストは放送エリアや放送時期によって異なります。人口の多いエリアやボーナス商戦期、視聴者の在宅率が高い時間帯などは費用が高くなります。スポットCMの費用は、買付金額と放送時期、放送時間帯で決まり、「GRP」もしくは「買付額」を指定して購入することが一般的です。
第3の選択肢「SAS」とは
タイムCMの契約期間は主に2クールから、スポットCMは短期でも2週間からなど、それぞれに契約期間の縛りがあります。期間の長さに比例して費用が高額となることは、テレビCM参入のハードルを高くしています。そこで新たに登場したCMが、第3のテレビCMと呼ばれる「SAS(Smart Ad Sales/スマートアドセールス)」です。
15秒1本の単位で購入でき、放送するタイミングの指定ができます。スポットCMよりさらに融通が効く点は大きな魅力です。また、過去の購入実績に関係なく放送枠が購入できるため、初心者でも挑戦しやすいCM形態です。
ただし、SASを取り扱うテレビ局は限られます。出稿を検討するテレビ局がSAS対応であることの事前確認が大切です。
まとめ
インターネットCMが急拡大する近年においても、テレビCMの信頼度や認知度の高さは、依然として広告戦略の成功に寄与する大きな魅力です。番組を選定して放送する「タイムCM」と時間を指定して放送する「スポットCM」に、第3のテレビCM「SAS」が加わることで、選択肢の増えたテレビCMが今より利用しやすくなることは間違いないでしょう。ただし、テレビCMの導入を検討する際は、種類や特徴をよく理解し、効果が得られる活用方法を慎重に検討されることをおすすめします。