コーズリレーテッドマーケティングの歴史と効果
商品やサービスのセールスの一部を非営利団体などに寄付するマーケティング活動が、ここ数年で注目されてきています。
売り上げから寄付できることで、消費者の支持を集める可能性も高く、ブランドイメージの向上につながると見込まれています。
ひと昔前まではカスタマー・リレーションシップ・マネジメント」のことを「CRM」と呼んでいましたが、最近ではコーズリレーテッドマーケティングとして認知度が高まっています。
今回は、コーズリレーテッドマーケティングの歴史と効果をご紹介します。
目次
コーズリレーテッドマーケティングとは?
コーズリレーテッドマーケティングとは、特定の商品やサービスの売り上げの一部を、環境保護や社会貢献に結びつくように寄付する取り組みで企業のイメージアップを図るマーケティング手法です。
商品やサービスの打ち上げの一部を寄付することを消費者に訴求することで、商品やサービスの販売促進にも役立てられます。
商品やサービスを利用する消費者にとっても、購入を通して社会貢献できるため、気持ちよく利用できるのがメリットです。
コーズリレーテッドマーケティングの歴史
企業の社会的責任のCSRが広く知られるようになってから、その一環としてコーズリレーテッドマーケティング活動も盛んになり、消費者にも知られるようになりました。
そのため、日本では最近始まった活動のように捉えられていることが多いですが、実はアメリカでは1976年から始まっていたのです。
アメリカでのコーズリレーテッドマーケティングの始まりとなったのが、大手のホテルのMarriott Corporationと早産や乳児死亡などを減らすために母子の健康改善に取り組む慈善団体のMarch of Dimesが実施したキャンペーンでした。
Marriott Corporationがコーズリレーテッドマーケティングを始めたのは、サンタクララ州に建設した大規模なエンターテイメント施設の宣伝のためでした。
一方、March of Dimesは、このキャンペーンで通じて、これまでより多くの寄付を集めたいという目的がありました。
そのような目的を持つMarriott CorporationとMarch of Dimesが合意し、アメリカの西部の67都市で同時に実施されて、約240万ドルもの寄付金を集めることに成功しました。
また、Marriott Corporationが建設したエンターテイメント施設にも、オープンの際には220万人もの人が訪れ、両者にとってキャンペーンは大成功に終わりました。
その後、日本においてコーズリレーテッドマーケティングが浸透したのは1983年のことでした。
そのきっかけとなったのが、AMEX(American Express)が行なっていた「自由の女神修復プロジェクト」です。
「自由の女神修復プロジェクト」は、AMEX(American Express)でのカード発行、カード利用の際の売り上げの一部を、アメリカの自由の女神の修復費用に寄付するというものでした。
結果、170万ドルの寄付が集まり、日本で初めてのコーズリレーテッドマーケティングも大成功をおさめました。
コーズリレーテッドマーケティングの効果
コーズリレーテッドマーケティングは、企業、消費者、社会に良い効果をもたらす結果が理想的です。
それが、コーズリレーテッドマーケティングの本当の効果です。
企業にとっては、ブランディング効果だけではなく、コーズリレーテッドマーケティング活動を行なうことで、従業員の意識も高まりインナーブランディング効果が期待できます。
そうした中で、消費者は購入することで、自らの意思表明ができます。
商品を購入することで、社会貢献に役立てることから寄付付き商品などを購入して、役に立ちたいと思う消費者が増えています。
例えば、慶應義塾大学商学部高橋郁夫研究室とインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」とで行われたアンケート調査では、約5割以上が寄付つき商品の購入経験があると答えました。
また、寄付つき商品の購入経験がない人の7割が、今後、寄付つき商品の購入意欲があることがわかりました。
こうした流れの中で、コーズリレーテッドマーケティングの採用により、企業はブランドイメージをアップでき他社との差別化を図れて、今後の売上に反映される可能性が高いです。
おわりに
コーズリレーテッドマーケティングの理想形は企業も消費者も社会もメリットを得られることです。
そのため、企業は消費者にも社会にもメリットが与えられるように、利益ばかりにとらわれず、プロジェクトの内容を煮詰めていくことです。
それによって企業のブランドイメージが向上するものだと捉えるべきでしょう。
コーズリレーテッドマーケティングを採用する際には、他社の成功事例をよく知った上で、内容を考えていくと良いものになるはずです。