フォント選びは、広告の佇まいを表現する大事な要素
みなさん、『フォント』をご存知でしょうか。
現代社会の中ではExcelやWord以外にもスマートフォンアプリなどでもフォントを選ぶ機会が増えているので、さすがにご存知の方も多いと思います。
フォント、つまり書体・文字のことを指します。
それではここでお聞きします。
「文字を見ないで1日過ごすことができますか?」
目次
文字のない広告は存在しない
質問の答えとして、ほとんどの人が「NO」とお答えになったかと思います。
駅張り広告、雑誌広告、WEB広告……その全てに文字、つまりフォントが使われています。
なぜなら広告には伝えたい情報が存在するからです。
おそらく「赤色を見ないで1日過ごす」ことより「ゴシック体のフォントを見ないで1日過ごす」ほうが遥かに困難です。
それなのに、目立たせる色使いには敏感で、フォントはなんでも良いという広告が多いのはなぜなのでしょう。
すごく目立ってはいるけど、何を伝えたいのだろう、または何が書いてあったけど覚えていない、なんていう広告を実に多く見かけます。
こういったフォントはあくまでも『文字情報を入れるための器』だと考えているような広告は、実はかなり損をしているばかりか、広告費を無駄にしていると言っても過言ではありません。
フォントには個性がある
フォントには色んな形があります。
明朝体だけでも何百種類ありますし、ゴシック体だけでも同じくらいの種類があります。
つまりその数だけフォントにはキャラクター(個性)があるということです。
おそらく多くの人はそんなことを考えたこともなかったでしょう。
せいぜい『ゴシック体・明朝体・丸ゴシック体』くらいは知ってるという方が大半だと思います。
それではこちらの画像をご覧ください。
5種類のフォントで同じ文字が書かれています。
それではこの中から、もしあなたが『ナチュラル系女子』にスープを売りたいとしたら、どのフォントを選ぶでしょう。
おそらく上から2番目のフォントを選んだ方が多いと思います。
もちろん感覚の問題なので個人差はでますが、真ん中のフォントを選んだ方はいないのではないでしょうか。
なんだか真ん中の場合だとスープというより『みそ汁』の方が合ってる感じがします。
このように『男性・女性』だけでなく『中学生・シニア』はもちろん『都会的・自然志向』などの印象もフォントによって人に与えることができます。
試しに先ほどの画像の中から『さわやかな男子大学生』『高層ビルで働くキャリアウーマン』にスープを売るフォント選びを数人でやってみるのも良いでしょう。
きっと7割以上の人の答えが同じになるでしょう。
色と違いフォントは見た人の無意識の中に印象を与えています。
普段意識をしない分、無意識の中にこういった印象が蓄積されているのです。
みなさんがぼんやりと想像する『キャリアウーマン』という共通イメージのように。
これでフォントが持つ個性についてご理解いただけたかと思います。
今日みた広告のキャッチコピー覚えていますか?
私たちは日常生活の中でたくさんの文字を見ています。
新聞や雑誌はもちろんですが、広告の範囲でも多くの文字を見ています。
駅張り広告、雑誌広告、WEB広告、チラシ、DM……数を挙げだしたら、きりがありません。
文字情報もキャッチコピーからイベントの日時だったり、商品の値段だったり色んなものがあります。
それほど大量の文字を見て過ごしている1日の中で、最も印象に残ったキャッチコピーを覚えているでしょうか。
実はこの質問に答えることができる人は案外少ないものです。
なぜ、あれほど多くのキャッチコピーを見ているのに覚えていないのでしょう?
駅張りポスターの場合、大きいサイズで目立っていて、その上多くは写真などと一緒にキャッチコピーが書かれているのに、その文字を思い出せない。
WEB広告も同じでたくさん見てるのに、情報を思い出せない。
キャッチコピーが思い出せない。
なぜなら、これら広告のほとんどは重要な文字情報が『見えているけど、伝わっていない』からなのです。
残念なことに『見る・読む=伝わる』という訳ではないのです。
むしろ『印象に残る=伝わる』という公式のほうが成立します。
相手の印象に残すには目立つだけではいけません。
感情に訴えかける必要があります。
ただただ商品名や値段の文字を大きく派手にしたところで、相手には伝わりませんし、他の広告に埋もれてしまいます。
それよりも相手が『私はこの商品が好きな気がする』と思うように、最適なフォントで語りかけるほうが印象に残ります。
appleのサイトをご覧になったことのある方はわかると思いますが、極太ゴシック体や明朝体、丸ゴシック体などは見ないですよね。
あの細身でシンプルな形のゴシック体がもつ雰囲気と、appleの製品と合いまって『この商品が欲しい』と思わせているのです。
さいごに
ここまでフォントが持つ力、個性についてご紹介してきました。
その上で今後必要なことは『伝えたい情報を、一体誰に伝えたいのか』を意識することです。
そうすることで、相手の印象に残り情報が伝わりやすいフォントがわかってきます。
現代社会の溢れんばかりの情報の渦の中で、伝えたいことと印象通りのフォントは「この商品をあなたの好みですよ」、「これを使うと、いいことがありますよ」とそっと語りかけ、相手にしっかりと伝えているのです。