交通広告が進化している!デジタルサイネージが秘める可能性
山手線の新車両“E235系”が2016年3月7日から営業運転を再開し、JR東日本は2020年までに全車両をE235系に統一すると発表しています。新車両の大きな特徴のひとつは、車内の交通広告にデジタルサイネージを大幅に増やしたこと。このように交通広告にデジタルサイネージを採用すると、どのような効果があるのでしょうか。以下では、その可能性についてご紹介します。
目次
紙の広告よりも乗客に見られる?
デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとはディスプレイを用いた看板のことで、さまざまなシーンで活用されています。たとえば、官公庁・学校などの公共機関、スーパーマーケットや駅、商業ビルなどの施設が例としてあげられます。デジタルサイネージは通常の看板と違ってディスプレイを用いるので、一定時間ごとに画面を切り替えたり動画を流したりすることも可能。そのため、交通広告を中心に、広告としての利用価値が増大しています。
JR東日本におけるデジタルサイネージの導入は、2002年にスタートしました。交通広告を流すことのできる“トレインチャンネル”が山手線を皮切りに順次開始され、次の駅などの路線情報や動画広告を流しています。そして、冒頭で紹介したように、2016年にはデジタルサイネージを拡張した山手線新車両が導入されました。
ほかにも、東京メトロでは2008年からデジタルサイネージを導入。ドア上部に“Tokyo Metro Vision”を設置し、動画広告を流せるようにしています。さらに、小田急電鉄も“小田急TV”を2015年より開始。その他の鉄道各社も、続々とデジタルサイネージを用いた展開を表明しています。
このように交通広告への導入が加速しているデジタルサイネージには、“高い視認率を誇る”というメリットがあります。視認率とは、ひとつの広告に対し、どれくらいの割合の人が「見た」と認識したかという指標のこと。関東交通広告協議会が2010年に行った調査によると、交通広告として定番の中吊り広告の視認率は69.7%でしたが、デジタルサイネージの視認率は75.7%でした。ほかの位置にある広告の視認率は全て中吊り広告に劣るため、デジタルサイネージは最もよく見られる交通広告であるといえます。
ほかに、広告を見てどれだけ興味・関心を刺激されたかという“広告関心度”、広告を見て購入したくなったかどうか・購入したかどうかという“購入意向喚起度”においても、同調査ではデジタルサイネージが最も優秀な交通広告であるとしています。
以上のことから、デジタルサイネージは電車内の交通広告において“紙の広告よりも乗客に見られやすい”広告であるといえます。
スマホ利用者へのアプローチも可能
スマホが普及したことにより、電車内ではスマホの画面を見る人が増えています。そうすると広告はあまり見られなくなってしまうように思えますが、交通広告とスマホ利用者の相性はとてもよいといわれています。
関東交通広告協議会によると、交通広告を見たあと、2~3割の人がほかの人へその内容を伝えているとのこと。しかも、「電車内で交通広告を見る人」の割合は、乗客全体よりもスマホ利用者やSNS利用者のほうが多いとの調査結果が出ています。
視認率の高いデジタルサイネージにおいては、その差も顕著です。スマホなどの携帯端末を利用していない層のデジタルサイネージ視認率が70.1%であったのに対し、利用している層の視認率は85.1%と大幅に上回っています。
このことから、SNSで拡散してもらいやすい広告をデジタルサイネージで流す、などの方法で高い広告効果が期待できるといえます。
今後の交通広告の主流となる存在
デジタルサイネージを用いた交通広告は、“より多くの乗客に見てもらえる”、“スマホ利用者へアプローチできる”という特色を持っています。今後の広告の展開を考える際、交通広告を選択肢のひとつに考えてみてはいかがでしょうか。